特集 病院のセーフティ・マネジメント最前線
巻頭言
大道 久
pp.541
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102027
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重大な医療事故の報道が続いて,医療安全の問題は深刻さを増している.今や患者安全の確保は国の医療施策における最重要課題となっており,病院は厳しい環境が続く中で,一層の対応が求められている.患者安全の確保は,医療の質改善における基本課題であり,安全管理の基盤の上に質向上に向けた様々な取り組みが構築されると考えるべきであろう.現代医療に予期せぬ有害事象が発生することは避けられないとしても,それを最小に抑止するための管理手法が検討されなければならない.高度で複雑な医療を求められる医療施設のクオリティマネジメントにおいて,安全の問題をどのように位置づけ,今後の有効な組織管理のあり方を考えてみたい.
国は,医療事故の経験を共有することで効果的な防止策が可能になるとして,特定機能病院と国立病院(独立行政法人国立病院機構病院)に医療事故の報告を求め,第三者機関に事故事例の集積を図る施策を打ち出した.また,医療事故の発生頻度に関する調査研究にも着手している.病院は,国が行おうとしている当面の医療安全施策の方向を踏まえた対応が必要となろう.
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