特集 地域医療の新たな展開と病院
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部
pp.13
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102044
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地域における医療提供体制の見直しは,医療改革の主要な課題の一つである.これまでに,病床を一般病床と療養病床に区分するなどして,機能の分担と連携を促進するとともに,在宅医療に向けた体制整備の必要性が強調されてきた.施設機能の分化と,その重点化・集積化の意義が繰り返し説かれる中で,最近になって地域医療の新しい枠組みを提案する動きが出てきた.医療提供側の機能分担と連携というよりは,医療を受ける立場から地域の各医療機関の機能的な役割が理解され,そのうえでそれぞれの医療が住民によって選択されるように,身近な生活圏において傷病ごとの連携体制を明確にしようとする方向である.その実現のために,核となる病院を中心とした,いわゆる「診療ネットワーク」を構築することが必要であると説かれている.
1次・2次・3次機能のピラミッド型医療システムを構築して垂直方向の医療連携を図ろうとする従来型の連携モデルに対して,水平的な傷病別のネットワーク機能を想定することは魅力的である反面,システム的な最適化が実現できるのか,あるいは囲い込み的連携体制となるのではないかとの疑問を呈する向きもある.まずは,その意図するところを理解する必要があるとともに,次期医療法改正の主要課題である医療計画の運用の方向を探っておきたい.そして,医療計画が病床規制の枠組みとして機能するだけでなく,地域計画としての有効性を評価する意義が強調される時代となっており,その方法論の一端について論じてもらうこととした.
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