特集 新たな医療計画の展開
巻頭言
大道 久
1
1日本大学医学部 医療管理学分野
pp.773
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101273
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
新たな医療計画制度の運用が開始された.急性期から亜急性期・慢性期,そして長期療養の在宅まで,切れ目のない連携体制を,4 疾病 5 事業において展開するというのが当初からの政策目標であった.都道府県は,医療費適正化計画や地域ケア体制整備構想などとともに,指標を設定した目標管理型の計画策定を迫られ,実施に至るまでは難渋したはずである.実施初年度の現段階で,果たしてどこまでその目標が達成されているのか,現況を把握しておく必要があろう.国は各県に医療計画の運用に向けて様々な要請を出してきたが,各県はそれをどこまで受け止め,計画の特徴がどのような形で表れているのか,神奈川県と福岡県の事例から見ておく.
4疾病のうちでも,「がん」と「脳卒中」の地域における連携体制の構築は,重点課題であることは疑いがない.がんについては,医療法による医療計画とは別に,国のがん診療施策の流れを汲む「がん対策基本法」が施行され,「がん診療連携拠点病院」を指定することにより,がん医療均てん化の促進と地域格差解消を図ることを目指している.一連のがん診療対策の流れを改めて総括し,新たな医療計画との関連について見ておきたい.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.