連載 医療BSC基礎講座・5
BSCの基本構造と原則(その2)―スコアカードの基本構造
髙橋 淑郎
1,2
1日本大学商学部
2日本医療バランスト・スコアカード研究学会
pp.462-465
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101982
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■スコアカード
戦略を実際に実行するためには,スコアカードが必要であるという立場をとるのがBSCである.4つの視点にある戦略目標は,戦略の遂行上必要な達成目標である.したがって,それらの戦略目標が達成できているかを明確に測定し,評価できなければ意味がない.そこで,戦略目標の達成度を測定するための尺度を決定するわけだが,結果としての成果尺度だけでなく,その結果を生み出すことに関係する「先行指標(尺度)」を一緒にバランスよく考えていかなければならない.BSC導入初期は成果尺度を中心に考えがちだが,経験を積むにつれ,先行尺度をしっかり把握し,見るように工夫していくことが大切である.尺度を決定したうえで,尺度に基づく少し背伸びした程度の到達すべき目標値を示し,その目標値を達成するために必要な具体的なアクション・プランを定めることで,初めて,根拠を持って戦略を実行する方策を具体的に示すことができる1).
こうした「戦略目標→重要成功要因→尺度→目標値→アクション・プラン」という流れを,「横の目的手段関係」と呼び2),それを示すのがスコアカードである.スコアカードは個々の戦略目標において作成されるが,それを見ただけでは目的手段関係は理解できても,戦略目標間の縦の因果連鎖までは必ずしも明確には読み取れない.そこでキャプランらは,縦の因果連鎖すなわち戦略のロジックを戦略マップによってビジュアルに描き出そうとしたのである.
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