特集 採用看護師の教育・研修
巻頭言
池上 直己
1
1慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室
pp.253
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101926
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病院附属の看護専門学校の場合は,入学・教育と,採用・研修が一体である.そのため,両者は円滑に移行し,採用後の職場は学園生活の延長であるゆえ定着も期待できる.ところが,独立した短大・大学の場合は,両者は分断されている.その結果,教育者として,どんな病院においても通用する標準的な技能を有する看護師を養成する必要がある一方で,新卒の看護師を採用する病院の側としては,自院に適した人材を採用し,育てなければならない.新人看護職員の卒後臨床研修が努力義務として施行された背景には,医療安全の確保だけでなく,こうした理由もあったと筆者は考える.
本特集では,同研修制度の議論の元となった「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」の座長であった井部俊子氏に評価と今後の展望をお願いし,次いで病院における取り組みについて,上田順子氏ならびにウイリアムソン彰子氏に執筆いただいた.一方,中途採用者に対しては,院内の研修や指導の体制を確立するだけでなく,病院のニーズと中途採用者のニーズをマッチングさせ,支援してゆく必要がある.こうした観点からの執筆を北浦暁子氏と深澤優子氏にお願いした.最後は事例として,大学と病院の連携について松岡綠氏,行政における取り組みについて矢島道子氏,外国人看護師の教育について小松本悟氏に執筆いただいた.
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