特集 急変する医薬品政策―病院としての対応
巻頭言
池上 直己
pp.461
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102026
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かつて病院にとって大きな収益源であった薬価差は急速に縮小している.そして今後,入院医療が包括評価されれば,薬価差そのものがなくなり,薬剤の処方は病院にとってすべて持ち出しのコストとなる.このように診療報酬の改定と医薬品政策の変化に合わせて,病院として機敏に対応する必要がある.
本特集では,まず白神誠氏から薬価改定と新薬の薬価設定のプロセスが解説されている.これまでの薬価政策によって薬剤費と薬価差の抑制は達成されたが,新薬の薬価設定(値づけ)の方法については課題が残されており,また参照価格の導入は失敗に終わっている.その理由は,薬剤の「有効性」を総合的に評価することは難しいので,新薬の比較優位性を検証することも,「同一薬効」のグループとして括る薬剤の範囲についても,関係者が合意できる方法を示せないことにある.このような難問に対する一つの対応方法が,池田俊也氏らが提示する薬剤経済学の手法である.
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