特集 経営陣の一翼としての看護部長
巻頭言
池上 直己
pp.365
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102036
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日本の病院は歴史的に「医師の家」として出発したため,患者ケアの視点が乏しかった.戦前までは家族が入院患者のケアを担い,看護婦は診療の介助に専念し,婦長も各診療科の医長が任命していた.こうした状態に対して戦後占領軍は,病院における看護ケアの確立と看護の独立を車の両輪に据えて改革を推し進めた.しかしながら,今日において看護部長は看護師の人事権を持つようになったが,患者中心の医療は必ずしも十分に達成されていない.
そこで,看護部長を経営陣に迎えることによって,患者ニーズに対して迅速に対応できるようになると同時に,病院の最大部門である看護部に対する経営側の意向を徹底することが期待されている.しかし,病院長の意向を代弁しているだけというように評価されれば,看護部長としての支持基盤を失うことになるので,部門の長として看護部の利害を経営に反映させることも必要であり,バランス感覚が求められる.
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