連載 リレーエッセイ 医療の現場から
子どもたちの生きる力を引き出すセラピー犬
大塚 敦子
pp.567
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101743
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聖路加国際病院の小児病棟には,毎月第2週と第3週の木曜日の午後,犬たちがやってくる.公益社団法人動物病院福祉協会(JAHA)から派遣されたセラピー犬とボランティアのチームだ.犬が好きな子どもにとっては,入院中に犬に会えるなんて,思ってもみなかった嬉しい贈り物.ふれあいの場となるプレイルームでは,犬たちが到着する前から,何人もの子どもたちが首を長くして待つ.
小児病棟へのセラピー犬の訪問活動が始まったのは2003年の2月だ.きっかけは,犬が大好きだったある女の子の死だったという.「犬に会いたい」と言っていたその子が亡くなったとき,病棟に犬を連れてきてあげられたらよかったのに…との思いがスタッフに残った.その後,やはり犬に会いたがっている女の子がいるとわかったとき,彼女の希望をかなえるために具体的な検討が始まったのだそうだ.
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