連載 職場のメンタルヘルス・12
セクハラとメンタルヘルス
武藤 清栄
1
,
村上 章子
1
1東京メンタルヘルス・アカデミー
pp.248-253
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101145
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仕事のストレスとセクハラ
厚生労働省(以下,厚労省)は病院勤務医の過重労働対策の1つとして,看護師が患者への一定の薬の投与量についての判断や,夜間・休日などの急患への診療項目の優先順位の決定,また入院患者やその家族への医師の治療方針の補足的な説明など医師の仕事の一部を肩代わりできることを決めた.厚労省は2007年12月28日付で各都道府県にこれらのことを通知し,また,これに付随して病院の事務職員に対しても,医師の確認や署名があれば診断書や処方せん,主治医の意見書などの作成の作業を認めることになった.これらは,医師法に抵触しない限り,医師でなくてもできる業務を選別し,勤務医の負担を軽減するためのものである.
この方策によって,逆に看護師や事務員の業務量は増えることになる.例えば,患者の病状が急変した時の対応や,糖尿病などの慢性的な患者への生活指導,注射なども医師の指示の下では可能となる.こうなると医師と看護師,医師と事務職員の信頼関係やコミュニケーションの質が重要になってくる.特に看護師にとっては,医師が不在でも,自分の判断で医療行為を肩代わりすることができるので,仕事を合理的にこなせる部分も出てくる一方,新たな責任も発生することになる.その分,ストレスや患者や家族からの訴えやクレームも多くなりそうである.
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