特集1 いま,ここにあるセクハラ―問題にしない&させない圧力はどこからくるのか。
セクハラの問題提起に共感が得られないのはなぜか?―一般病棟でも起こっているセクハラ
栗田 かほる
1
1北里大学病院・個室病棟
pp.27-31
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900553
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私は神奈川県相模原市にある北里大学病院の個室病棟に勤務する看護師です。看護師になる前は,一般企業のいわゆる食品メーカーに勤めていた経験があります。その後4年制大学で看護学を学び,3年前にまったく違う世界から医療という新しい世界に飛び込みました。日々業務を行なうなかで「看護」の素晴らしさと面白さを実感しつつ,奥深さや難しさも感じています。また病院そして看護という世界の特殊性を目の当りにし戸惑うこともしばしばです。過酷な勤務体制や厳しい労働環境のなかで,自分自身の健康を維持すること,安定した精神状態を保ち理想や目標に向かってモチベーションを維持することの難しさを痛感しています。
私が直面した問題の1つが患者から受ける暴力とセクシャルハラスメント(以下セクハラと略す)です。患者からのセクハラは精神科だけの問題ではなく,一般病棟でも頻発している問題です。私は患者から受けるこれらの問題があまりにも多いことに驚き,またそれに対する看護師のさまざまな反応に当惑しています。そして目まぐるしい日々の業務にかき消されている,看護師の受けた心の傷ややるせないやり場のない感情が,人々に理解されないまま置き去りにされている現実を悲しく思っています。また看護師が1人の感精を持った人間として大事にされていないことも強く感じています。
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