特集 病院におけるIT化の新局面
「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」について
岩井 勝弘
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1総務省行政評価局年金記録確認中央第三者委員会事務室
pp.994-998
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101072
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グランドデザインの背景
2006年1月,政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)は「IT新改革戦略」を策定し,ITによる改革の仕上げのための取り組みと,そのための基盤整備についての課題を取りまとめた.また,IT戦略本部は,医療のIT化と電子政府の推進を重点2分野と位置づけ,評価専門調査部会の下に医療評価委員会と電子政府評価委員会を設置し,調査審議を進めている.「IT新改革戦略」においても,重点施策の1番目に医療のIT化関連の項目を取り上げ,医療・健康・介護・福祉分野について「分野横断的な情報化方針,具体的なアクションプラン等を示す情報化のグランドデザインを2006年度までに策定する」としている.こうしたIT戦略本部の決定や医療評価委員会の審議を踏まえ,厚生労働省(以下,厚労省)は,2007年3月,医療・健康・介護・福祉分野におけるIT化の将来像とその実現に向けた当面のアクションプランを掲げたグランドデザインを策定した.
これに先立ち,厚生省においては,1995年,「保健医療福祉分野における情報化実施指針」を策定し,各分野における情報化の必要性や施策の展望を示している.また,2001年12月には,厚労省の「保健医療情報システム検討会」における検討を踏まえ,「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定し,電子カルテやレセプト電算化等についての達成目標を設定し,アクションプランを定めている.厚労省は,このグランドデザインに基づき,医療用語・コード等の標準化,新傷病名マスター(コード)の適用など必要な基盤整備やレセプトの電算化のための諸施策を講じてきた.
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