連載 医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・4
医療機関インタビュー―ウェブサイトを有効に活用している3事例
栗原 美幸
1
1子育て支援サイト「子育てワハハ」
pp.692-695
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100670
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はじめに―広告規制緩和後の現状とインタビューに先立って
2002年までの医療法の改正と広告規制緩和に伴い,医療機関の広報活動,とくにウェブにおいて劇的な変化が起こっている.これまで産院サイトを中心にトラッキングをかけてきたが,中でも確固たる医療方針を持つ産院や,顧客との関係性を重視した取り組みをしている産院に関しては,とりわけ質の高いサイトの改編が認められた.いずれも高度なマーケティング活動,消費者心理の深い理解が感じられ,医療消費者として,またコーポレートレベルのコミュニケーションにかかわる者として非常に興味深い.
医療機関のウェブにおける広報は,その特性から広告活動とみなされない.したがってウェブは「自由な情報提供・表現の場」として活用され得るし,逆に活用することで,いまだ医療者と医療消費者の間に存在する情報の非対称性の是正が可能である.また,それによって「より質の高い医療サービスの提供」をより早く現実化するポテンシャルを秘めている可能性も高い.
今回はウェブサイトにおける広報が病院経営に何をもたらすのか,また効果的な広報のために何がキーとなるのか,また卓越したサイトであるためには何が必要なのかを,医療機関,特に産院におけるコミュニケーション活動にフォーカスして,可能性を探ってみたい.
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