連載 医療安全管理の実践・3
医療事故用語の定義
長谷川 敏彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.590-596
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100650
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医療事故を取り扱い,予防するには,まずその対象である「事故とは何かを定義」することと,「実態を把握」することが最初の出発点となる.医療安全院内体制の構築も,このような事故リスクの全般的把握から出発しなければならない.そこで今回は事故をめぐる諸概念や用語の定義を試み,それに基づいて国内外の調査から事故の実態に迫ってみたい.
事故をめぐる用語の定義は実は簡単ではない.既に英語でも日本語でも様々な言葉が飛び交っており,特に英語を日本語に訳すに当たっても,定訳がない状態である.医療事故に関連する英語はmedical accident,malpractice,mishap,adverse eventなど何十もあり,日本語でも医療事故,医療過誤,ヒヤリハットなど多数の語が存在する(表1).
そこで今回は用語を三つのグループに分け,第一の用語群は「過誤,事故,訴訟」の三つのイベントをめぐるもの,第二の用語群は「危険,危害,安全」など事故の可能性をめぐるもの,第三の用語群は「危険管理,危機管理,安全管理」などの管理をめぐるものとする.これまで各検討会などで用いられていた定義をメタ分析し,できる限り妥当な定義を試みてみたい.
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