ニュース診断
不当表示広告と消費者
田村 紀雄
1
1東京大学新聞研究所
pp.66
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204214
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8年ほど前の「ニセ牛缶事件」以来,マスコミ商品による消費者の利益侵害問題がにわかにクローズ・アップされてきた。ことしになって業界である日本缶詰協会などがついに折れて「馬肉使用」と表示することになったのは消費者側の一つの勝利であろう。馬肉を使ったかん詰を「精肉」とか「ニューコンビーフ」などと名付けて市場へ出していたことは主婦連などの摘発で大きな世論となっていた。それ以降「不当景品類および不当表示防止法」が62年8月生まれ,この法にもとずく公正取引委員会の動きで,広告の社会問題がいっそう明確になってきた。
たとえば最近だけでも「少年週刊誌の懸賞品に軍国調」(朝日新聞3・15)「牛乳,成分表示をハッキリ,業者自主規制に踏み出す」(3・19)「輸入品装う国産チョコ・ガム,綿まじりの"100%純毛服地"」(4・17)など商品表示の問題性は意外に深い。
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