特集 病院とPR
病院の広告と患者の受療行動
森 満
1
,
庄野 菜穂子
1
,
檜垣 靖樹
1
,
古賀 義孝
2
1佐賀医科大学地域保健科学講座
2佐賀県保健環境部健康増進課
pp.618-621
発行日 1994年7月1日
Published Date 1994/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901269
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はじめに
医療法改正によって,1994年4月から病院内掲示と院外の広告に関する規定の一部が変わった.詳細は本誌本号の報告1)を参照していただくとして,その要点は,管理者や医師の氏名,診療日,診療時間などを院内に掲示することが義務づけられるとともに,院外では従来からの診療科名,診療日,診療時間の広告のほかに,常時診療に従事する医師名と35項目にわたる厚生大臣の定める事項2)を広告できるようになったことである.このような広告制限の見直しの理由として,患者の医療に関する知識や判断力の向上,患者からの医療に関する情報の要求の高まり,および広告の方法や広告の媒体の多様化が挙げられている.比較広告や誇大広告は禁止されているものの,このような広告できる事項の拡大は,患者が受診する病院を決める上で少なからず影響を与えることが考えられる.
ところで,同じような種類の,かつ,同じ程度の症状を有する者であっても,しばらくの間その症状を放置する者から,直ちに医療機関を受診する者までさまざまである.何らかの症状を有する者がその症状に伴って取る行動はillness behaviourと称される3,4).日本では病い行動とも訳されているが5),ここでは受療行動という用語をその訳として使用したい.
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