新連載 医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・1
広告規制緩和を活かした医療機関の新たなマーケティングの方向性
碇 朋子
1
1静岡県立大学経営情報学部
pp.407-411
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100614
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厳しさが増す医療機関経営への光明―広告規制緩和
「経済特区」において営利企業による医療機関経営を可としようという提案がなされるほど,現在,国内の医療機関経営をめぐる環境は,激動の中に置かれている.そのような提案の早々の実現には疑問符がつくものの,遅かれ早かれ医療機関も,現在大学をはじめとした教育諸機関が巻き込まれているのと同様な状況,すなわち,もはや国や行政によって特別に「守られる」ことのない状況に追い込まれる日がやってくる可能性は皆無ではない.また近年,いわゆる「医療ミス」が社会問題化するケースが急激に増加する中,患者が自らの身体を託す医療機関を選択する際のその選択眼も,急速に厳しさを増しているように思われる.
このように昨今,医療機関経営にとっての環境の不確実性が増大する状況ではあるが,一つの光明も見えてきている.2001,2002年に実施された,いわゆる医療機関の広告規制緩和である.医療機関が広告・広報において患者に提供する情報の内容は,上記のように,予測される今後の医療機関経営の競争激化という観点からも,また患者からの医療情報公開への強い要望という観点からも,今後,各医療機関経営にとって,重要なマーケティング上の差別化の一手段となってくることは間違いない.
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