特別寄稿
21世紀初頭の医療改革と民間病院の役割―幻想の「抜本改革」から着実な部分改革と自己改革へ(中編)
二木 立
1,2
1日本福祉大学
2日本福祉大学大学院社会福祉学研究科
pp.216-222
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100575
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一般病床半減説─医療提供制度の「抜本改革」論(2)3)
次に,もう一つの医療提供制度「抜本改革」論である「一般病床半減説」について検討する.
「厚生労働省は現存する120万床の一般病床を50~60万床に減らすと発表した」,「平均在院日数20日を切れない民間中小病院は一般病床として生き残れず,療養病床に転換するしかない」
厚生労働省が一昨年9月に『医療制度改革試案』を発表して以来,このような「一般病床半減説」が医療ジャーナリズムや医療界をにぎわすようになった.昨年4月の診療報酬改定以降,この主張はほとんど通説化し,一般病床・療養病床の届け出締め切りを本年8月に控えた病院関係者(特に民間中小病院経営者)を浮き足立たせている.
しかし,私は,「一般病床半減説」は厚生労働省の方針と医療法第4次改正を医療ジャーナリズムが誤解してあおり立てた虚構・幻想であり,わが国の病院医療の現実(国民・患者の嗜好を含む)と旧厚生省(以下,厚生省)の病院病床削減政策がみじめに失敗した歴史を考えると,実現するわけがないと考えている.以下,この問題に関する私の事実認識,「客観的」予測,価値判断を述べる.
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