連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・8
失敗から改革へ:共感をもって着実に―フローレンス・ナイティンゲール
神馬 征峰
1
1東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室
pp.607-610
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101616
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…あなた方の間違いは神の計画の一部なのです(文献1),p26)
白衣の天使・ナイティンゲール
フローレンス・ナイティンゲール(1820年5月12日~1910年8月13日)は,イタリアのフィレンツェ生まれのイギリス人看護師.近代看護教育の生みの親.統計学や公衆衛生分野でも先駆的な業績を残した.
看護師が「白衣の天使」と呼ばれるようになったのは,ナイティンゲールに由来する.クリミア戦争の最中,病棟の夜回りを欠かさなかったことから「ランプの貴婦人」とも呼ばれたナイティンゲール.確かに天使のような人であったのかもしれない.当時,文豪でもあったギャスケル夫人が書いた手紙によれば,「フローレンス・ナイティンゲールは背の高い,姿勢のよい,ほっそりした人です.短か目の,たっぷりした栗色の髪,透きとおるような肌,灰色の瞳.その瞳は思い深げに伏し目がちです.しかしその目が快活に輝くとき,彼女のように楽しげな面持を私は見たことがありません…黒い絹の服の高い衿が細い白い喉もとを覆い,黒いショールを肩に掛けているその様子.たぶんあなたも彼女のたぐい稀な優雅さ,美しさが想像できるでしょう.それは聖女を思わせる姿です」(文献2),p61).
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