時評
21世紀を見通した医療改革を
姉崎 正平
Masahira ANESAKI
pp.87
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208991
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"これ程重要な法案が,これ程順調に成立するとは思わなかった"と中曽根首相を満足かつ得意にさせた国鉄改革関連8法による国鉄の分割民営化,臨時国会をさらに延長しての「老人保健法の改正」により,わが国の臨調行革路線の推進は峠を越し,いわばその完成に向けて突進する態勢に入ったかのように見える.このような方向を確固たるものとしたのは,昨年6月の衆参同時選挙における自民党の圧勝とその論功行賞による中曽根総裁,したがって首相の任期延長である.まさに,戦後政治の総決算を掲げ,行政改革に政治生命を賭けるといわれる中曽根路線である.他方,政府・自民党は政府の歳入をシャープ勧告以来といわれる税制改革で確保しようとしている.これも自民党圧倒多数のもとで当分選挙もないのでこの機会に一気にという様子がうかがえる.
さて,保健医療の分野で,今年は何が起こるであろうか.1985年暮れの「医療法の改正」,今回の「老人保健法の改正」が成立したのを受けて,今年からは,病床規制を主眼とした各都道府県の地域医療計画の決定,中間施設すなわち老人保健施設に関する規準や規定の決定,家庭医制度についての何らかの進展,医学部入学定員の削減など,いわば従来の医療保険などを通じての直接的医療費抑制から医療供給制度の合理化による医療費抑制策の具体化に移っていくと思われる.
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