特集 病院の人材確保―景気・社会構造の変化を踏まえて
医療分野における労働需給調整事業のあり方に関する一考察
佐野 哲
1
1法政大学経営学部
pp.705-709
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100366
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この小稿では,まず一般の労働市場における労働需給調整事業(職業紹介,労働者派遣,業務請負,求人広告,人事コンサルティングなど.以下,需給調整事業)を取り上げる.その近年の制度的変化とともに求人企業および求職者の市場動向を追い,なるべくわかりやすく構造と論点を整理したい.そして,その論点整理を通して,医療分野にフォーカスした「需給調整事業のあり方」について考察を加える.
「一般の」つまり製造業やサービス業などに対する民間の需給調整事業は,これまで一貫して政府の規制を受けてきた.しかしながら,この分野の諸規制は,周知の通り医療分野に先駆け,1990 年代から急激に自由化されている.ここでは敢えて,医療機関における労働の本質を捉えて,それを特別視することをしない.医療機関における労働を専門的職業の一つとして捉え,隣接分野での自由化の光と影を普遍的に整理することができれば,医療分野における需給調整事業の今後のあり方について,一つの方向性を提示することができるはずである.
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