特集 病院の人材確保―景気・社会構造の変化を踏まえて
人口の構造的変化と雇用予測
鈴木 玲子
1
1社団法人日本経済研究センター
pp.700-704
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100365
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■逼迫する労働市場
1991 年のバブル崩壊に続く約 10 年の間に日本経済は回復感のない景気サイクルを 2 回繰り返した.その後 2002 年 1 月に始まった今回は,待ちかねた本格的な景気拡大である.景気好転の背景には,1990 年代を通じた強力な人事リストラによる人件費の圧縮により,企業が収益構造を改善したことが挙げられる.しかし好業績の持続が本物であることに自信を持った企業はここへきて採用意欲を高めている.併せて団塊の世代の退職が始まる 2007 年問題が目前に迫っていることから,企業は先を見越して求人に積極的となっている.
その結果,長期低迷していた労働市場にも活気が出てきた.1997 年から 6 年間減少し続けていた就業者数は 2003 年を底に増加に転じ,失業者率は 2006 年 5 月現在 4.0 %まで低下,有効求人倍率も 2006 年始めから 1 を上回る水準を回復し 5 月には 1.07 を記録している.
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