臨床外科交見室
医師の需給問題
町田 清朗
1
1弘前市立病院
pp.684
発行日 1995年5月20日
Published Date 1995/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905229
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読者の大半は若い外科勤務医と推定され,これから述べることにはあまり関心がないかも知れない.しかし,医師需給問題は,10年先,20年先の自分自身に関係してくることであり,欧米諸国においては,すでに1970年代から医師の過剰が問題になっているという.
では,わが国の現況はどうであろうか.昨年末,厚生省の示した『医師需給の見直し等に関する検討委員会意見』と『平成5年医療施設調査・病院報告』をもとにこの問題を考えてみたい.まず,全国届け出医師数は平成2年211,797人,平成4年219,704人で7,907人(3.8%)の増加である.全国の医大,医学部の入学定員は現在7,715人であるから,その約2分の1に相当する数の医師が毎年増えていることになる.しかも,全医師数の6割以上は勤務医であり,年々増加の傾向にある.一方,病院数は減少し,平成4年で1万台を切り,平成5年にはさらに199施設減り,9,844施設となった.診療所も数こそ1%の微増を示したものの,有床は3%の減,無床は2.5%の増となっている.つまり,医師数は勤務医を中心にドンドン増えているが,病院数は減少し,開業も目に見えては増えていないということである.
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