連載 クロストーク医療裁判・4
開業医の転送義務―開業医に求められる医療水準とは―最高裁平成15年11月11日判決の事例から
浦上 薫史
1
,
溜箭 将之
1
1東京地方裁判所
pp.492-495
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100320
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■最高裁平成 15 年 11 月 11 日判決について
今回取り上げる最高裁平成 15 年 11 月 11 日判決は,開業医の転送義務が問題となった事件です.なお,ここにいう「開業医」は,高度医療施設を有しない医院における医師を指します.
1.事案
小学校 6 年生の患者 X が,開業医 Y の診療を受けましたが,初診から 5 日目になっても投薬・点滴による症状の改善がみられませんでした.X の意識障害等を疑わせる言動に不安を覚えた X の母親が診察を求め,開業医 Y は高度な医療を施すことのできる医療機関に転送することはなく,自ら診察を続けていましたが X の症状は悪化しました.6 日目に X は入院治療が可能な総合病院に緊急入院し,原因不明の急性脳症と診断されました.
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