連載 クロストーク医療裁判・3
医薬品の使用をめぐる医療水準論―最高裁平成14年11月8日判決の事例から
堀内 元城
1
,
横野 恵
2
1東京地方裁判所
2早稲田大学社会科学部
pp.404-407
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100210
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医師に過失があったか否かについては,医師が医療水準に従った医療行為を行っていたか否かによって判断されます.では,医療水準とはいったい何を基準に決められるのでしょうか.
前回ご紹介した最高裁判所の判決(平成8年1月23日)は,医師が医薬品を使用するに当たって,医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず,それによって医療事故が発生した場合には,これに従わなかったことについて特段の合理的理由がない限り,医師に過失(注意義務違反)があったと推定されるとしました.これは,医薬品の添付文書の記載が医療水準を判断する際の重要な資料となることを示したといえます.
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