連載 続クロストーク医療裁判・11
医師の説明義務のあり方―分娩方法に関する説明義務違反事件―最高裁平成17年9月8日判決の事例から
堀内 元城
1
,
土屋 裕子
2
,
生水 真紀夫
3
1元・東京地方裁判所
2東京大学大学院人文社会系研究科グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」
3千葉大学大学院生殖機能病態学
pp.1003-1009
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101329
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本連載は65巻3号~66巻2号に掲載した好評連載の続編である.裁判実務・法律・医療分野に携わる三者が,最高裁判決を事例に論点を解説し,多角的な見方を提供する.
第11回と12回は,前回の連載第5~7回で取り上げた説明義務違反の問題について,その後出された最高裁判決を素材に再論するものである.いずれの最高裁判決も説明義務違反を認めなかった高裁判決を覆して,これを認める方向での再審理を求めたものであり,説明義務違反についての最高裁の積極的な姿勢がうかがわれる.
今回取り上げる判決は,いわゆる逆子の出産について,分娩方法の選択(経膣分娩か帝王切開か)についての説明義務違反を認めたものである.本件は,具体的にされた医師の説明に不正確な点があったこと(分娩方法の移行に関するもの)や,患者側の度重なる帝王切開への希望に対する対応が十分でなかったことが,ポイントとなっている.産科で基本的な問題の1つと考えられる分娩方法の選択に関し,どのような説明がなされるべきかについて,改めて議論したい.
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