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はじめに
理想的なPT・OTのあり方というものがよく討議されますがリハビリテーション医療に従事する私どもとしては臨床,研究,教育の三本柱を守ることが責任でありその理想像でもありましょう.口で言うのは簡単なことですが日本の医療ではどうしても大部分の人びとが臨床面に時間をとられてなかなか研究と教育までは時間の配分ができない現状であります.
ヨーロッパ系のPT・OTは一般的には臨床一本槍で進む人が多く,どちらかといえばprofessionalismの主張というよりもより良きtechnicianとして徹しているような感じを受けます.もちろん彼らには彼らなりのprofessionalismはありますが.一方米国系のPT・OTは最近の傾向としては実務にしばらくついたあとで更に上の学部へと進みマスターをとる人々が増えているようです.
日本のリハビリテーション学院を考えてみますと欧州系の3年制でtechnicianを養成する体制の中で米国系のような臨床,教育,研究の三本柱を基本とする4年制のカリキュラムを押しこもうとしたのがそもそもの問題点であり,この3年制の学院のあり方には私自身疑問も持っているしだいです.ただ人間は百人百様でありそれぞれの人に向き不向きがありますゆえ,よい意味で必ずしもtechnicianが悪いとは思いませんが,将来のリハビリテーションを考えてみるとリハビリテーションチームのメンバーが専門職として粒揃いであることが理想的でありますからその点ですべてのパラメディカルメンバーが平行して進歩することが望ましいと考えます.その際もちろんドクターの問題もありますが,優秀なパラメディカルメンバーが増加すればかえってドクターのほうが教育される時代がきてもおかしくないと思います.
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