2色ページ 老年病学・7
老人のリハビリテーション
荻島 秀男
1,2
1都立老人総合研究所リハビリテーション医学部
2東京都立養育院付属病院リハビリテーション部
pp.888-891
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916704
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リハビリテーションは人間の持つこの社会における権利の復活,再びhabilitateするという意味でrehabilitationという新語になったわけであるが,日本語ではその本質を的確に伝える訳語がないようである.‘社会復帰’という訳語は,リハビリテーションの限られた一面を伝えているのみであり,間違った意味の漢字が使われるよりも,そのまま原語を使う方がよいであろう.
1963年にわが国で制定された老人福祉法によると‘老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきたものとして敬愛され,かつ健全で安らかな生活を保障されるものとする’と結構な基本理念であるが,今日の政府のスローガンであった福祉優先内閣の打ち出したものが月額3300円の支給である.今時,1か月3300円で生活することは不可能であるし,全く笑い話である.GNPがいくら世界第2位であっても,老人に関する限り,わが国の老人ほど惨めな層は世界の文明国では存在しない.少なくとも年金で何とか生活ができるような政策がとられない限り,わが国の将来は暗闇である.統計的にはあと20-30年で日本の人口の1/4が60歳以上になると予測され,老齢人口化は諸外国に比して急テンポである.
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