世界のリハビリテーションこの10年

These 10 years in rehabilitation world.

はじめに

　過去20年におけるリハビリテーション医学の発展には目をみはるものがある．特にこの10年間で，以前は第三の医学として注目をあびていた時代から治療医学の主体および予防医学としての重要性にまで発展していることが世界の趨勢であり，その点では，わが国の遅れは行政面でも医療面でも，これからの10年間では到底追いつけない程のレベルに低迷しているといっても過言ではない．

　医学の専門分野としては新しい分野の1つであるが，従来の概念に基づいての医学よりさらに発展した考えで人間の基本的人権を守る意昧で身体的，心理的，社会的，経済的，職業的な面を総括して，今までは見捨てられる可能性が大きかった対象者をも含める医学の分野であるということで社会と結びついた中で人類の幸福の追求を行なって来たという実績が世界的に受け入れられるようになったのであろう．