リハビリテーション・その現状
リハビリテーション医療実施への提言
荻島 秀男
1,2,3
1リハビリテーションペインクリニックわらび診療所
2前東京都養育院附属病院リハビリテーション
3前東京都老人総合研究所リハビリテーション
pp.55-59
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207358
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考えてみれば日本というのは不思議な国であり奇妙な社会である.映画については専門的に何も勉強したことのない人が映画評論家,医学の勉強は全くやったことがないのに少し物を書きスポンサーつきで外国を一周し見て回りいつの間にか医事評論家と自称,他称し,音楽の専門的な勉強を何もやっていない人が音楽療法を論じたりする.永らく外国で生活をし再度日本に住みつくと,自分の見方が狂っているのではないかと自問自答を繰り返してしまう.というのは,リハビリテーションに関しても同じような印象が強いからである.全くリハビリテーション医学についての専門的なコースを経たわけでもなく,専門的な施設での研修を2〜3年単位で終了もしていない人が,ある日突然にリハビリテーション科,リハビリテーション部,リハビリテーション診療科などの担当者としてお目見えする.それだけリハビリテーションの重要性が認識されて,今後おのおのの病院施設でリハビリテーション中心の医療が展開されるのかと期待をもって見守っていると,全く逆の感を受けることもある.キリスト者が信者であるために陥る危険性ということがよく論じられるが,リハビリテーションにも多分にそのような危険性がある.
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