研究と報告
脳性まひ児の食事訓練における経験
宮本 雅子
1
1北九州市立足立学園
pp.133-137
発行日 1972年4月9日
Published Date 1972/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104207
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はじめに
健康である,なしにかかわらず,食物をとることは人間の生活において,その生存に重要なだけでなく,大きな楽しみである.
したがって脳性まひ児の訓練の中で,食事訓練は大きな位置を与えられねばならない.一ロに食事訓練というが,大別すると2つの全く異なった部門に分けることができる.
すなわち一つは上肢の訓練(スプーンを握る,すくう,口に食物をはこぶなど)である.他の一つは,口腔器官の訓練(口唇,舌,顎など)である.多くの場合,口腔器官の訓練はおろそかにされ,それが十分なされないまま,上肢の訓練が開始されているようである.
しかし,口腔器官の訓練が適確になされないかぎり,将来ともBiting Reflex,舌の突出,誤嚥による肺の炎症,流涎などの問題を解決することはむずかしく,患者は食事の楽しみをうばわれるとともに,不断に健康管理が要求されることになる.
それゆえ早期より,患者は療法士の手により,あるいはその指導のもとに,両親またはナースに適切な方法で与えられることが必要である.実際,患者の持っている問題は多様で‘一朝一夕’に解決できないが,少しでも障害を軽減するための努力は必要であろう.
以下,実際的な評価方法と治療について症例をあげ若干のべてみたい.
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