特集 こどもの理学療法
脳性まひ児の理学療法
原 泰夫
1
Hara Yasuo
1
1心身障害児総合医療療育センター
pp.372-376
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100805
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
小児理学療法の意義
診療報酬改定など医療を取り巻く状況は年々厳しくなってきている.小児の領域も例外ではなく,その影響は今後より深刻な形で現れてくることが予想される.短期的な成果や目に見える治療効果を求める声が強まる中で,われわれが培ってきた良い部分を保ちつつ,一方これまでのいわば悠長な対応から脱却し,厳しくなる状況に即して対応を変化させていかなければならない.今われわれは否応なしにこの状況に適応することを求められている.現場から見れば,そこには負の要素(成人と小児を同一視した制度を施行する側の無理解)が強いと感じられるが,一方,前向きに考える要素として,変わらざるを得ないこの状況下で今までのむだや多分に経験主義的,感覚的であった部分をより客観化して,自分達の使命と役割を見直し,こども達と家族のために真に役立つ方向に体制を変えていく良い機会として捉えることも可能だろう.
障害児のリハビリテーションの価値を認めない考え方や,逆に即効的な方法が宣伝されることに対して,われわれはもっと地に足の着いた治療の必要性を主張していかなければならない.それにはセラピスト自身が,しっかりした知識・技術を身につけ,丁寧に着実な対応をしていくことでこどもは変わる,という確信をもつことが必要である.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.