Japanese
English
特集 整形外科
老年者の骨折事故と理学療法
Orthopedic: Physical Therapy for the Bone Fracture of the Aged
太田 隆
1
,
源 菜穂子
2
Takashi OTA
1
,
Naoko MINAMOTO
2
1東京都老人医療センター
2東京都医療技術短期大学
1Department of Pyhsical Therapy, Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital.
2Department of Physical Therapy, Tokyo Metropolitan College of Allied Medical Scienses.
pp.414-419
発行日 1988年7月15日
Published Date 1988/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104054
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Ⅰ.初めに
人口の高齢化に伴い疾病を有する老人の増加,特にいわゆる寝たきり老人の問題は医療,社会の問題となっている.これらの寝たきり老人の発生の原因としてもっとも多いのが脳血管障害であるが,骨折を契機に寝たきりになるケースが多いことは一般にはよく知られていないと思われる.当センターは65歳以上を対象とする病院であるが,大腿骨頸部骨折の診断で入院した患者はADLのレベルが一段階下がって退院するケースが多い1,2).骨折前は杖(つえ)を使わず屋外を歩行できた者でも退院時には杖の使用が必要であり,また治療の阻害となる合併症をもつ例ではさらにADLの低下をきたしてしまう.このように老年者にとって骨折とは重要な問題であり,臨床で老年者に接するとき,リスクとして骨折をつねに考える必要があろう.
老年者はなぜ骨折を起こしやすいのか,どうすれば予防できるのか,また骨折した場合の治療はどうか,以上の点について理学療法との関連から述べてみたい.
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