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特集 内科治療のスタンダード―集団から個への橋渡し
老年者高血圧
Hypertension in the Elderly
久代 登志男
1
1日本大学総合健診センター
pp.12-15
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901385
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■左室機能低下を伴う高血圧例
患者 71歳,男性.
60歳で定年退職するまでの健診では特に異常は指摘されず,現在妻と2人暮らしで旅行を趣味とし毎日ビール大1本を楽しんでいるが,3ヵ月前から自宅近くの登り坂を歩く際に息切れを自覚するようになり来院した.初診時座位血圧は184/76mmHg,80/分の整脈,身長162cm,体重57kg,心尖部でIV音を聴取し心尖拍動は鎖骨中線より1横指外側に触れた(J1).腹部に血管雑音は聴取せず,下肢動脈拍動に左右差はなく浮腫はなかった.胸部X線は心胸比53%,心電図は洞調律,SII<SIII, aVLでqR型, V 5, V 6で平底T波を認めた.血液検査ではHb13g/dl,クレアチニン1.4mg/dl,尿酸6.7mg/dlで,電解質,血漿レニン活性,尿検査に異常はなかった.以上より左室拡大と左室予備能低下を伴う収縮期性高血圧と診断,1日食塩摂取量8gの減塩指導とフルイトラン(トリクロルメチアジド:サイアザイド系利尿薬)半錠1日おきから開始,4週後の血圧は172/70mmHgであり自覚症状の改善を認め,フルイトラン半錠毎日に増量し4週問~6週間後に164/68mmHg前後の血圧となり,レニベース(エナラプリル:アンジオテンシン変換酵素阻害薬)2.5mgを追加し,4週間後に142/66mgに降圧し心胸比は49%となった。
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