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Ⅰ.初めに
「理学療法士及び作業療法士法」第2条によると,「理学療法」とは‘身体に障害のある者に対し主としてその基本的動作能力の回復を図るため治療体操その他の運動を行なわせ,電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加えることをいう’とされている.そして「理学療法士」とは‘厚生大臣の免許を受けて理学療法士の名称を用いて医師の指示の下に理学療法を行なうことを業とする者をいう’とされている.
「身体に障害を負った者が社会復帰するためには医学的リハビリテーションが極めて重要であり,その専門技術者の養成が必要である」との社会的認識が法律の制定の背景に存在している.(したがって理学療法士の資格を有しない者も理学療法を行なっている現状は,法律制定の趣旨に照らして好ましい状態ではない.)
理学療法の有効性,安全性を確保するためには,資格を有し,十分な知識と経験とを有する者に実践させなくてはならない.リハビリテーションを受ける患者からすれば,そのような理学療法士の管理・指導の下に,有効性・安全性のある療法を受ける権利があるということになる.
理学療法士は,理学療法についてのプロフェッションである.医師の指示の下に理学療法を行なうということになっているが,もし理学療法士の過誤により,患者に損害を与えたときは理学療法士が責任を負う余地がある.理学療法士の過誤がクローズアップされその責任が問われることは,理学療法士の専門性の確立,地位の向上と結び付いているので,「医師の指示」に逃げ込むことは正しい姿とは言えない.医師の具体的指示が誤っていると判断した場合には,その是正を求めて医師と討議をすることができるし,誤った療法についてはその実施を拒絶することさえできる場面があると解する.
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