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はじめに
近年,わが国でもスポーツに対する関心の高まりがみられ,各年齢層で各種のスポーツへの参加がみられるようになり,競技愛好者の数も増えてきている.その一方でスポーツ外傷・障害により,治療を受ける例も多くなってきており,医療サイドにおいても競技復帰に対する問題への真剣な取り組みが望まれるようになってきた.しかしながら,スポーツ選手・愛好家における種々の運動器官の障害は,治療のゴールが,原則としてスポーツ復帰にあるため,治療内容・期間などを含めて,なお未解決な問題が多く残されている.腰部障害は,スポーツ障害として,日常よくみられるものの一つである.その中で,腰椎分離は,スポーツ選手に有意に多く認められることは,諸家が報告している1,2).しかし,レ線学的所見として,腰椎分離を有していても,無症状でスポーツなどで活躍している例も少なくないため,腰椎分離は,レ線像上の所見に過ぎないという意見もある.治療については,スポーツの停止,3~6カ月間におよぶBraceの装着3)など,いわば消極的な保存療法がとられている場合が多いが,諸家の治療方針は必ずしも一致している訳ではない.特に,スポーツ選手・愛好家の場合には,患者のスポーツ復帰願望とのかねあいで,対応に苦慮することも少なくなく,また患者も整形外科的治療をきらい,針・灸などの治療を受けることが多いようである.これまで筆者らは,腰痛のため,スポーツに参加できたいことや,参加しても十分なプレーができないことを主訴に来院したスポーツ選手・愛好家に対して,成長期の症例も含めて,原則として,ダイナミック運動療法を施行してきた1,4,5).成長期以後の場合は,ダイナミック運動療法を一定期間施行すればよいと考えてきたが,成長期の場合には,分離部の癒合の問題など,成人とは異なった対応が要求されると思われる.今回,ダイナミック運動療法の内容を紹介すると共に,ダイナミック運動療法を施行した10代スポーツ選手における治療成績ならびに問題点を述べてみたい.
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