論述
スポーツ選手の腰部障害—特に重量物挙上様式をとる種目を中心として
市川 宣恭
1
,
広橋 賢次
1
,
小松 堅吾
1
,
若林 亘
1
,
長田 明
1
,
馬場 康夫
1
,
渡辺 径宏
1
,
越宗 正晃
1
,
黒田 晃司
1
,
松田 英樹
1
,
神原 俊和
1
,
前田 勉
1
Nobuyasu ICHIKAWA
1
1大阪市立大学医学部整形外科学教室
pp.140-148
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904952
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はじめに
スポーツ選手における腰痛はトレーニングをつむ過程において一時期の発症あるいは軽症のものは止むをえないものとし,なかには腰痛がおこつて始めて一人前であるという暴論すらきかれる.いずれにしろいまわしい症状の一つである.
一般にトレーニングの負荷処方の原則としてover load principleがあり,intensity,duration,frequencyのそれぞれについて数量化し,個人ごとに運動処方を与えるというトレーニング処方の合理化を計る傾向がみられるが,高度の技術を駆使しなければならない場合や,できるかぎりの重量物の負荷にたえねばならない競技スポーツにおいて,あらゆる動作の運動軸となる脊柱,ことに力の支点となる腰椎下部は生体力学的にも想像以上の過度の負荷がかかり,その解剖学的弱点と相俟って障害をおこしやすい.
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