特集 終末ケアにおける理学療法・作業療法
<随想>
終末ケアの経験から
神先 美紀
1
1国立療養所宇多野病院
pp.529
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103611
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今回初めて,神経・筋難病の患者に対する取り組みが,終末ケアと言われていることを知った.終末という言葉に戸惑いを感じるが,確かに,進行し,難治であることから,一般の疾患よりもさらにリハビリテーションに関しては困難が多く,関わるスタッフにもまた違った感慨があるかもしれない.しかし私個人としては,終末ということを,ことさら意識したことはあまりなかった.
アプローチの一つは,社会復帰のためのOT援助である.MD,PT,SW,NSとの協力態勢を重視してのチームアプローチの一部分として動いた.家族への対応,地域への協力要請等も重要だった.
二番目は,スプリントや自助具を通じての関わりである.最初MDより処方が出され一つ作る.その後は,患者の身体機能に変化があったり,壊れたりすると,患者が「いつ時間がとれますか.」と言いながら,OT室に訪ねて来たり,また,担当PTにより知らされる.従って,一年に一度,二カ月に一度顔を合わせるといったことになり,「久し振りですね.いかがですか.」と声をかける患者訪室になる.そして患者と一緒に考えながらスプリントや自助具を製作する.
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