特集 終末ケアにおける理学療法・作業療法
<随想>
終末ケアの経験から―末期ケアについて思うこと
望月 久
1
1東京都立神経病院
pp.528
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103610
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都立神経病院には神経系難病患者が多く入院している.進行性・難治性の疾患は患者や周囲の人びとの努力にもかかわらず徐々に患者を蝕ばみ,遂には死に至らしむ.そのような患者と理学療法士(PT)としてかかわる中で思うことを,神経難病でもとくに悲惨な経過をたどるとされる筋萎縮性側索硬化症(ALS)を例に述べてみたい.
ALSは第一次および第二次運動ニューロンが比較的選択的に障害される変性疾患である.初発症状は手指や下肢筋の脱力・筋萎縮などであるが,進行すると筋力低下は全身に及び,球麻痺による嚥下障害,発語障害や呼吸障害も加わり,最終的には随意的に外界と交流することができない状態(total locked-in状態)にまで陥る可能性のある疾患である.
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