特集 終末ケアにおける理学療法・作業療法
<随想>
終末ケアの経験から―つぶやき
皆木 登美子
1
1愛知県心身障害者コロニー中央病院
pp.526
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103608
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重症心身障害児の死は,前ぶれもなくおとずれる.
1歳の誕生日をむかえた直後,その幼い命を終えたKちゃんもその中の一人でした.生後2カ月,化膿性髄膜炎後遺症で当院を受診.初めての出会いは,哺乳力もなく経管栄養で生かされ,終日ねむり続け,脳波はフラット.しかし,親の願いはただひとつ.それは,「この子のつぶらな瞳を一度見たい.」ということでした.数カ月後,わずかに手足を動かし,うめき声のような声を発するなどの進歩に喜びを見い出しました.母親が通院のためにと,自動車教習所へ通い免許がとれた数日後,そのつぶらな瞳は一度も開かれないまま他界してしまいました.
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