連載 母と子のこころの相談室から—思春期・8
援助の原点—援助者の自己開示と傷つき
田中 千穂子
1
1花クリニック精神神経科
pp.398-401
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900487
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
今回でこの思春期編が終わりますが,これまで言葉が足りなかったり,書ききれなかった部分を補いながら,援助者の自己開示の問題に触れて最終回としたいと思います。
思春期編では,摂食障害の問題や精神分裂病の発病,強迫神経症や心身症,あるいは家庭内暴力の問題や境界例の症例,そして障害をもつ方たちの思春期の問題など,助言が必要とされているケースがまだまだたくさんあります。全ての問題を網羅することは,ケースを簡単に紹介していけばできたかもしれません。でも私は,このシリーズではそうしたくありませんでした。何が効を奏したのか,あるいは何が悪かったのか,その場その場の対応をできるだけ細かく伝えたいという気持ちが強くありました。そのために,ケースの数が少なくならざるを得ませんでした。また思春期のケースの場合,長期化するものの方が多く,簡潔に書くことが難しかったことも一因だったと思います。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.