Japanese
English
特集 呼吸機能障害
呼吸不全のADL
Activities of Daily Living in Patients with Respiratory Failure
佐々木 光子
1
Mitsuko SASAKI
1
1国立療養所東京病院
1Tokyo National Chest Hospital.
pp.601-606
発行日 1985年9月15日
Published Date 1985/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103398
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はじめに
日本では呼吸不全を起こす原因として肺結核後遺症が最も多いが慢性気管支炎,喘息,肺気腫,びまん性汎細気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患も着実に増加傾向にある.また神経・筋疾患などにおいても著明な呼吸機能障害を来たすことはよく知られている事実である.慢性呼吸不全は日常生活の基本的な動作の遂行さえも制限しがちである.呼吸機能障害の原因となった疾患の治療は完成し救命できても病理解剖学的に破壊されて復元しない臓器・組織が残り,病態生理学的には機能低下が出現している.これに加齢現象が加わると日常生活の活動性は次第に低下してくる.慢性呼吸不全者に襲う急性増悪は,死の渕に引きずり込むような恐怖であり,慢性の経過を辿るうちに強い不安感が用心深い性格になり,遂にはひとつの生活習慣にまでなってしまう.何かをしたくとも出来ない苛立たしさや酸素吸入や薬の副作用から来る精神症状など心身の問題に対してもアプローチする必要がある.このような背景に触れてADLについて述べることにする.
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