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特集 職域拡大への展望
職業リハビリテーションと社会リハビリテーションにおける理学療法士・作業療法士の役割
Role of Physical and Occupational Therapists in Vocational and Social Aspects of Rehabilitation Practices
辰巳 三代子
1
,
坂中 照明
1
,
坂本 憲一
1
Miyoko TATSUMI
1
,
Teruaki SAKANAKA
1
,
Kenichi SAKAMOTO
1
1大阪府立身体障害者福祉センター
1Osaka Prefectural Rehabilitation Center.
pp.151-156
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103279
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Ⅰ.はじめに
過去,リハビリテーションは,「社会復帰」もしくは,「社会的自立」を意味し,再就労を目標にした意味合いの強いものであった.その後,障害者群の変化(表1),障害者自身のニーズの変化,社会のニーズの変化等によって,従来のリハビリ理念では対応しきれなくなり,その考え方も,時代の流れと共に変遷し,リハビリは,上田1)らによって,「復権」「人間らしく生きる権利の回復」と理念づけられてきた.また,「integration」「normalization」の思想も導入されてきた.これらの流れに対して,PT,OTに課せられる役割も徐々にしかも急激に変ってきている.特に俗に,リハビリ,イコール整形外科的疾患の後療法として印象づけられ,セラピスト自からも,治療主義,機能障害(impairment)の治療に偏重して,どちらかというと,disability,handicapに深く立ち入りきれない面があったが,「全人間的アプローチ」への目覚めが浸透してき,各種の研修会,文献,ジャーナルなどでも,トータル・リハビリの必要性がさかんに叫ばれ,関心が示されてきた.
しかしながら,PT,OTの意識は高まりながらも,現実的には,既製の組織がえのむずかしさ,専門家としての固執性,保守性やなわばり,スタッフ不足などからか,まだまだPT,OTは病院,施設の訓練室で,単に治療者として,定まった時間内で,理学療法,作業療法を行うに止まっている.またチームアプローチの必要性を理解しながらも,実際には,PT,OTは個別に(別の時間に別の場所で)障害者ニードをばらばらにしてアプローチしているのが現状である.
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