プログレス
行動医学の進歩―(2)医学への応用
西川 泰夫
1
1上智大学文学部心理学研究室
pp.117
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103035
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従来の心身医学への反省と,行動科学的アプローチの可能性への認識の高まりにともない,新しい医学『行動医学』が急速に関心なよんでいる.アメリカでのここ十年来の動向である.ある種の行動や生活様式が,疾患の発生と原因にとっての危険因子となること.そうした行動を修正したり変容したりする具体的な技法が開発されてきたこと.それは薬理作用と同一の生理的過程へ作用し変化をもたらすこと.当人の心内における心理的因子,心的葛藤といった精神力動的側面におとらずあるいはそれ以上に行動的側面の重要性が認められてきたことが背景をなしている.しかし,『行動医学』は単に心身医学の対極におかれるのではなく,相補的であり,さらに両者を総合した総合医学,総合人間科学をめざすものである(拙著『行動医学』講談社サイエンティフィクはその一つの試みである.).
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