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最近医学の進歩の数々
Anne Fromer
,
森島 侃一郞
pp.50-59
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200922
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茲数週間,マックスウエル孃は只器械的に生きているだけであつた.彼女は精神分裂症の末期症状である緊張病性昏睡状態であり彼女の眼は硝子樣に開いてはいるが見えないのであり,彼女の耳は聞えるという徴候すらも示さなかつたのであつた.
此話は英国コルチエスターにあるSeveralls病院内での出来事であるが,或る日Stephen博士が彼女の部屋に這入つて来て,未だかつて以前に行われた事のない治療法を彼女に施すにつき彼女の近親の人達と相談し其許可を得たのであつた.彼女の承諾のもとに彼女の頭蓋の小骨片は除去され注射針が挿入されて数滴の化学薬が彼女の睡眠状態の脳内に注射された.
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