The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 17, Issue 2
(February 1983)
Japanese
English
特集 脳卒中
脳卒中者の心理・社会的予後
Psycho-Social Prognosis in the Cerebral Vascular Accident(CVA)Client
白井 俊子
1
,
河崎 靖子
Toshiko SHIRAI
1
,
Yasuko KAWASAKI
1東京都心身障害者福祉センター
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Center for Physically and Mentally Handicapped.
pp.77-87
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102791
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Ⅰ.はじめに
筆者らが所属する相談窓口では,主として職業相談の主訴で来所する肢体不自由者を対象としている.
そのうち,脳卒中者は,昭和56年度の例では24%を占め,毎年増加傾向にある.彼らの大部分は,発症後,概ね6ヵ月~1年経過しており,医学的治療は終了し,日常生活動作は一応自立している人達であり,したがって発病初期の混乱は既にみられない.しかし,病人としての生活からは脱却できたものの,疾病のためにこれまでの職場(場合によっては家族)を失い,障害を持ちながら新たな生活の仕方を考えなければならず,その方法がわからない―というストレス状況におかれている段階にある.
職業を考える場合,転職を考えざるを得ないが,順調に就労できた場合も病前と同程度の収入を得るものは極めて少なく,夫婦共働きで家計を支えたり,不足分は生活保護を受給する人が多い.また,夫が働けない場合は,妻,子が代って家計を支えねばならない場合も生じる.
このように,受障のために病前と同様の生活が維持できなくなった場合,各人がいかにして新しい生活に適応していくかというプロセスがリハビリテーションの過程と考えられる.
本報告では,当センター職業相談に来所した脳卒中者に対し,①就労に向けるための援助の方法および就労に向けられない場合の在宅生活への援助の方法,②両者の評価要因,③リハビリテーションのゴールの達成(以下ゴール達成)の成否に関する要因―について述べることとする.
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