とびら
チーム・アプローチ確立のために
中村 隆一
1
1東北大学医学部附属リハビリテーション医学研究施設
pp.517
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102676
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リハビリテーション医療におけるチーム・アプローチは,その概念や日常運用の面では広く知られている.しかし,それが本来の機能をはたしているかは疑問視される方も多いのではなかろうか.医師,種々のパラメディカル・スタッフによる診断・評価,目標設定,リハ計画と実施,再評価などは,どこの病院や施設でも,そのパターンは整っていることだろう.しかし本当に納得のいくリハビリテーションが行われているだろうか.一人一人の患者・障害者に対して最適なリハビリテーションを行うためのシステムは一見存在しているようにみえても,実態としては機能していないのではなかろうか.日頃感じている,これらの問題点を分析し,今後の方向を模索してみよう.
第一には最近のリハビリテーション医療での対象疾患や障害の変化があげられる.四肢・脊髄障害に対する医療は技術的にかなり進歩し,治療手順の体系化も大略は行われ,残された問題は社会・心理的側面に重点が移行した.一方では,中枢神経疾患,とくに変性疾患が老人問題と平行してリハビリテーションの対象として増加したものの,それら疾患や障害の予後についての知識や対応手段の確立が不十分である.さらに,脳性麻痺をはじめとして小児リハビリテーションでは,発達の問題を重視するようにはなったものの,それは社会環境と切り離せない側面をもつこと,および社会変化の加速現象に対して,リハビリテーション・スタッフの意識や技術が追従しきれなくなっていることなどがあげられる.
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