紹介
重度脳損傷児の排便障害に対する神経発達学的治療
古澤 正道
1
1大阪府済生会吹田療育園
pp.199-203
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102600
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はじめに
今日,新生児医療が進歩しつつある中で,脳性麻痺児の発生率は漸減していると報告されている1,2,3).
しかし,肢体不自由児施設においては,運動麻痺のみを主症状とする脳性麻痺児の比率が減少し,逆に,重度の知恵遅れやてんかんなどを伴った脳性麻痺児や,小頭症などの子供が相対的に多くなっているように思える.
後者の子供たちの療育においては,食事機能や呼吸機能といった生命維持機能の問題を重視せねばならぬことが多く,その一つとして便秘の問題も,セラピストの立場から取り上げてゆく必要がある.
そこで,身体運動機能の改善に神経発達学的治療(ボバース法)を使用し,その一環として便秘へのアプローチをした二人の重度脳損傷児の症例報告をする.一例は,寝たきりの過緊張の小頭症児で,もう一例は,知恵遅れを伴った低緊張傾向の水頭症児である.この症例報告を通して,重度障害児の生命維持機能の向上や,生活機能を高めてゆくことの重要さと,重度障害児への理学療法の手がかりの一助としたい.
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