「MACNAB腰痛」―Ian Macnab著，鈴木信治訳

　カナダには色々なタイプの医師が存在する．アメリカで教育を受けた者，英国で教育を受けた者，ケベック州にはフランスで教育を受けた者，およびカナダで生まれカナダで教育を受けた者である．この本の著者マクナッブは典型的な英国で教育を受けたタイプであるだけに，一読してまず英国的である事を強く感じる．マクナッブ教授は脊椎外科では以前より国際的によく知られた人であり分離すべり症の中の脊椎無分離すべり症の研究は特に有名である．

　非常に簡潔明瞭にまとめられた腰痛の手引き書であるが，内容は解剖，腰痛の分類，脊椎性腰痛：骨性病変，脊椎すべり症，仙腸関節の病変，脊椎性腰痛：軟部組織病変，病歴，腰部の診察，神経根刺激のない椎間板変性，神経根刺激のある椎間板変性，脊椎手術の失敗，結語の12章でまとめられている．