書評
清水誠治,斉藤裕輔,田中信治,津田純郎(著)「腸疾患診療―プロセスとノウハウ」
多田 正大
1
1多田消化器クリニック
pp.1155
発行日 2008年8月20日
Published Date 2008/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102243
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腸疾患の種類は多いが,腫瘍の診断と治療については比較的単純である.良悪性を鑑別し,次いで内視鏡で処置できるか否かを判断すればよい.内視鏡治療が不適切と判断すれば外科手術に委ねるので手順としては単純明快である.問題は炎症性疾患で,種類が多く症状も多彩であり,内視鏡所見も病期によって変化するので臨床医を悩ませる.腸管の炎症が疑われるケースに遭遇すると,まるで推理小説の謎解きである.画像診断だけで直感的に診断が下せないこともあり,系統的に,論理的に思考を組み立てなければ解決できない.
さらに,腸炎の治療も難解なことが多い.補液しておくだけで自然治癒が期待できる疾患もあれば,難治性で医者泣かせのIBDも少なくない.腸疾患を取り扱う場合,日頃から診療過程を論理的にまとめるトレーニングを積み重ねておく必要がある.
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