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—David H.Clark著 鈴木 淳訳—「精神科医の役割管理療法」
保崎 秀夫
1
1慶大・神経科
pp.36
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203512
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一読して感じたことは,管理療法(訳者も述べているごとく療法という言葉には問題があるかも知れぬ)という名は用いられていないが,これに近いものが広く日本でも行なわれているのではないかということである。したがって,まことにわが意を得たりと思う人もあれば,いまさらと思う人もあるであろう。旧態依然たる病院につとめている人にとっては,引用されている具体例をみて,どこの国でも悩みは同じであること,あまりにも似すぎているので苦笑するに違いない。
著者はまず従来の精神病院(あまりにも動きの少ない,ただ保護的な)に対する社会科学者達の批判や,その改善のための僅かな試みの歴史(第1章)に触れ,これに対する精神科医の人道的見地からの病棟開放や作業療法が管理療法の端緒となったこと(第2章),環境づくりでの,患者の治療のための理想的雰囲気づくりの原則(諸条件)を種々論じている(患者の生命・人格尊重から職員の態度・人間関係などにいたる)(第3章)。
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